東京で『交通事故』に強い弁護士

主婦の休業損害の計算方法

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2024年5月7日

1 主婦の家事労働の金銭的評価

主婦が交通事故に遭って負傷し、家事労働ができなくなった場合、主婦は、通常、家事労働によって金銭収入を得ていないため、主婦の家事労働をどのように金銭的に評価すべきかが問題となります。

最高裁判所昭和49年7月19日判決は、「結婚して家事に専念する妻は、その従事する家事労働によって現実に金銭収入を得ることはないが、家事労働に属する多くの労働は、労働社会において金銭的に評価されうるものであり、これを他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならないのであるから、妻は、自ら家事労働に従事することにより、財産上の利益を挙げているのである。」「家事労働に専念する妻は、平均的労働不能年令に達するまで、女子雇傭労働者の平均的賃金に相当する財産上の収益を挙げるものと推定するのが適当である。」と判示しました。

現在の裁判実務においても、主婦の家事労働を金銭的に評価することは可能であり、その評価にあたっては、女子雇用労働者の平均賃金(賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・女性労働者・全年齢・学歴計の平均賃金)を基礎収入として算定する方法が定着しています。

2 主婦の休業損害の計算方法

主婦の休業損害の計算方法は、基礎収入(日額)に休業日数を乗じて算定します。

休業日数は、事故によって家事労働に従事できなかった期間について認められます。

例えば、交通事故による負傷で入院していた場合、その間は家事が一切できないことが明らかなので、入院期間は休業日数にカウントされます。

他方、通院期間中については、そのうち何日を休業したとみるべきかは、受傷内容や症状の程度、治療内容、通院期間や頻度等によって異なります。

裁判所の考え方もさまざまで、例えば通院実日数を休業日数とみる方法があります。

他にも、事故後30日は80%、その後の30日は50%、その後の30日は30%の家事労働が制約されたとみるように、急性期から慢性期まで段階的に逓減させる方法等があります。

ちなみに、自賠責保険における主婦としての休業損害は、原則として、日額6100円×通院日数によって算出されます。

参考リンク:国土交通省・自賠責保険ポータルサイト・傷害による損害

先程の計算方法との違いは、通院日しか含まれないこと、症状の程度や改善等による減額がないこと、治療費等と合わせて120万円という上限額があること等です。

3 兼業主婦、男性、未婚者

パートタイマーや内職等の兼業主婦の方で、パートタイマー等から得る収入が賃金センサスによる平均賃金を下回る場合は、平均賃金を基礎として請求することが可能です。

男性であっても、家族のために家事労働に従事している場合、休業損害が認められます。

その場合通常は、女性労働者の賃金センサスにより算定されます。

未婚の方が親と同居して家事労働に従事している場合、原則として休業損害は認められません。

しかし、本人や親の就労状況、実際の家事分担等の事情によって、例外的に請求することができるケースもあります。

4 交通事故事件に詳しい弁護士にご相談ください

このように、専業・兼業、女性・男性を問わず、家事労働に従事している方の休業損害は、算定方法が明確に定まっていません。

そのため、加害者側の保険会社が、低額の損害額を提示してくるおそれがあります。

主婦の休業損害が過小評価されることのないよう、交通事故事件に詳しい弁護士にご相談ください。

当法人では、東京駅のすぐ近くに事務所を設け、交通事故への対応を得意とする弁護士が多数在籍しています。

交通事故被害に遭われた方は、どうぞお気軽にご相談いただければと思います。

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主婦の休業損害に関する注意点

1 主婦であっても,休業損害を請求できます

休業損害とは,傷害の治癒までに発生する就労不能ないしは通常の就労ができないことにより生ずる収入減少額を損害として把握するものです。

主婦のように,現に家族のために家事労働に従事する者(これを「家事従事者」といいます)は,現金収入がないのが一般的ですから,収入の減少を考える余地はないようにも思えます。

しかし,家事労働も,家族以外の者に頼めば,その者に一定の報酬の支払をしなければなりません。

すなわち,家族関係ゆえに金銭による対価支払が行われていないにすぎないので,主婦などの家事従事者は,報酬相当の利益を家族のために確保しているということになり,現金収入はなくても,家事労働による金銭的利益を得ているのと同視することができます。

したがって,受傷のために家事に従事することができなかった期間について,主婦は休業損害を請求することができるのです。

2 主婦の休業損害に関する計算方法

休業損害は,1日あたりの基礎収入額に認定休業日数を積算して求めます。

家事労働を担う主婦の場合,現金収入がないため,算定の基礎収入額は,女性労働者の平均賃金(賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計の全年齢平均賃金額または全年齢別平均賃金)を用います。

3 主婦の休業損害に関する注意点

家事に従事しつつ,パートタイマーとして働く方,事業収入を得ている方は,一般的には実収入部分を加算することなく平均賃金額を基礎収入額として用います。

一方,収入が平均賃金額以上のときは,実収入額によって給与所得者あるいは個人事業者として損害額を算定することになります。

また,子ども夫婦と同居する親などの「従たる家事従事者」は,現実に分担している家事労働の内容や従事できる労務の程度を考慮して,適宜減額された金額を基礎収入額とします。

さらに,男性の家事従事者も「主夫」として休業損害を請求できますが,基礎収入額は女性労働者の平均賃金を用いて算出されることが多いようです。

4 交通事故案件の経験豊かな弁護士へご依頼ください

交通事故は専門性の強い分野でありますから,交通事故被害者の方は,交通事故案件の経験豊かな弁護士に依頼されるようにしてください。

詳しい説明をお聞きになりたい方は,一度,当法人の弁護士までご相談いだければ幸いです。

東京近郊にお住まいの方ですと,弁護士法人心 東京法律事務所が便利だと思われます。

ご不明な点がありましたら,どんなことでも構いませんので,安心してお尋ねください。

腰椎(圧迫)骨折の慰謝料請求-交通事故弁護士が解決

1 腰椎圧迫骨折とは

背骨は,頚椎,胸椎,腰椎という一連の椎骨から成っています。

そして,腰椎とは,胸椎の下に続く5つの骨のことをいいます。

この腰椎に圧力がかかって,骨が押しつぶされるように変形する形で骨折することを,腰椎圧迫骨折といいます。

腰椎を圧迫骨折すると,骨折した部分の痛みだけでなく,下肢の痺れ,麻痺といった,腰部以外の部位にも症状が出ることがあります。

2 腰椎圧迫骨折と後遺障害

腰椎を圧迫骨折して,脊柱の変形が残ってしまった場合や,脊柱の運動に制限が残ってしまった場合には,変形や制限の程度に応じて,後遺障害等級6級,8級,11級に該当する場合があります。

後遺障害に該当すると認定された場合,保険会社から後遺障害慰謝料が支払われます。

後遺障害慰謝料の相場ですが,6級の場合には1180万円,8級の場合には830万円,11級の場合には420万円となっています。

もちろん,後遺障害慰謝料以外にも,逸失利益,入通院慰謝料,休業損害,通院交通費等についても,保険会社から支払われることになります。

3 腰椎圧迫骨折と逸失利益

腰椎を圧迫骨折して,「脊柱に変形を残すもの」として,後遺障害等級11級7号と認定された場合によく問題となるのが,逸失利益の有無です。

逸失利益とは,後遺障害が残ってしまったことによる,将来の収入減少に対する賠償のことです。

保険会社は,背骨が変形しても仕事に影響はないから,逸失利益は発生していないと主張してくることが多いです。

被害者の方は,交通事故に詳しくないですから,保険会社に言われるがまま,逸失利益は発生していないこととして,示談に応じてしまうことが多いです。

しかし,医学的な知識と後遺障害に関する豊富な経験のある弁護士に依頼することによって,後遺障害等級11級7号に該当する場合であっても,多額の逸失利益を獲得することができる場合があります。

後遺障害が残るような交通事故に遭ってしまった場合には,弁護士に相談するかどうかによって,賠償金額が大きく変わってくることがあります。

交通事故に遭われてしまった場合には,ぜひ一度,弁護士法人心 東京法律事務所までご相談ください。

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交通事故と主婦の休業損害

主婦とは,家族のために料理や洗濯,掃除等の家事労働を行う人のことで,その業務に従事する人のことを,家事従事者といいます。

もし,その家事従事者が交通事故被害に遭い,怪我を負ったとしても,休業損害を請求することはできないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。

仕事をして収入を得ている人が交通事故に遭い,仕事を休まざるを得なくなった場合は,働くことができなくなった日数分の休業損害を相手方に請求することができます。

家事従事者は,家事労働をすることによって収入を得ているわけではありませんが,交通事故に遭ったことが原因で家事労働ができなくなった場合,被る損害が全くないわけではありません。

家事従事者としての休業損害を計算する際,基本収入額を算出するため,一般的には,「賃金センサス」という統計が,広く使用されています。

この賃金センサスをもとにした,女子労働者の全年齢平均賃金額を用いて,「一日当たりの収入」×「家事を行えなかった日数」として,家事従事者の休業損害が計算されます。

たとえ主夫(男性)であっても,休業損害の計算の際は,基本的には,女子労働者の全年齢平均賃金を用いて計算します。

もし,主夫(男性)だからといって男性の全年齢平均賃金を用いるとなると,男性の方が女性よりも高額になります。

同じ家事労働をしていても男女差によって休業損害に差額が出てしまうのは不公平ですので,主夫(男性)であっても,基礎収入の計算の際は,女性の全年齢平均賃金が用いられることが多いものと考えられます。

ただし,保険会社から提示される際は,賃金センサスを用いた計算方法ではなく,自賠責保険を基準に計算されることがあります(1日につき原則として5,700円)。

もちろん,最初から賃金センサスをもとに計算をしてくれる保険会社もありますが,多くの場合は弁護士の交渉によって,賃金センサスをもとにした計算をされ,休業損害の増額につながります。

もし,休業損害にご納得がいかない等のお悩みがございましたら,東京駅八重洲北口より徒歩3分,日本橋駅より徒歩2分の,弁護士法人心 東京法律事務所にお気軽にご相談ください。

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