東京で『交通事故』に強い弁護士

交通事故でペットが怪我をした場合の損害賠償

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2021年3月9日

1 交通事故によるペットの怪我

交通事故の被害に遭うのは、必ずしも人だけに限られません。

たとえば、ペットの散歩中や、車に乗せていたときに交通事故に遭ってしまった場合、ペットが怪我をしてしまうこともあり得ます。

ここでは、ペットが交通事故で怪我をした場合に、相手方に対してどのような損害を賠償請求することができるのかご説明させていただきます。

2 ペットの法律的な取り扱い

ペットは生き物ではありますが、法律上は「物」として扱われることとなります。

つまり、ペットは飼い主の「物」、言い換えれば「財産」であり、ペットが怪我をした場合、法律的には、飼い主の財産権が侵害されたと解釈されることとなります。

3 ペットの治療費について

⑴ 上記のとおり、ペットの怪我は法律的には財産権の侵害として扱われ、その場合、加害者は、原状回復(事故前の状態に戻すこと)のための費用を負担することになります。

この原状回復のための費用として、ペットの飼い主は治療費を請求することができます。

⑵ なお、車の修理代が時価額を上回る場合は、同等の中古車に買い替えた方が安く済むということで、時価額の限度でしか損害賠償請求できないことがあります。

これと同じように、ペットの治療費も、本来はペットの時価額の限度でしか損害賠償請求することが出来ないと法律的には考えることとなります。

もっとも、裁判例では、ペットの時価額を考慮することなく治療費の賠償を認めているものもあり、その取扱いが確立しているわけではないようです。

参考リンク :下級裁判所裁判例速報

4 ペットが怪我をしたことに対する慰謝料

⑴ 大切に育ててきたペットが怪我をした場合に、飼い主が大きな精神的損害を被ることも少なくありません。

このような飼い主の被った精神的損害を慰謝料として請求できるかが問題となります。

⑵ 上記のとおり、ペットは「物」として扱われるため、原状回復のための費用が支払われれば、損害は元通りに補填されたことになります。

そのため、ペットが怪我をしたことに対する慰謝料は、原則として認められていません。

⑶ もっとも、これまでの裁判例の中には、飼い主の方が家族同様の愛情を注いで飼育していたペットが、交通事故に遭ったことよって死亡をしたり重傷を負ったりしてしまった事案において、飼い主の方が被った精神的苦痛に対する慰謝料の請求を認めたケースもあります。

たとえば、東京高等裁判所平成16年2月26日判決は、長年家族同然に飼ってきた愛犬が交通事故で亡くなった事案で、飼い主に慰謝料5万円を認めています。

また、飼っていた2匹の愛犬が死傷した事案について、慰謝料10万円を認めた裁判例もあります。

⑷ ただし、ペットが怪我を負ったり死亡をしたりしたことによる飼い主の慰謝料請求を認めた裁判例でも、慰謝料の額がそこまで高額になったものは少ないというのが現状です。

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交通事故で請求できる損害賠償とは

交通事故によって様々な損害が発生したけれど,どこまで相手方保険会社に請求できるのかといった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな疑問を少しでも解決するため,交通事故の損害賠償を行う際に請求できる項目について,簡単にご案内します。

まず,相手方保険会社に請求できる項目として,当然に,事故によってかかった治療費や通院交通費は請求することができます。

また,事故により会社を休まなければならなかったり,早退・遅刻をしなければならなかったりした際には,休業損害として,損害を請求することができます。

会社員の場合には,自身の勤務先に休業損害証明書という証明書と事故前年度の源泉徴収票(事故前に相当程度の収入があったことを示すため)を作成してもらい,相手方保険会社に提出することになります。

さらに,交通事故によって精神的・肉体的な損害を負ったとして発生する傷害慰謝料という項目も相手方保険会社に請求することができます。

上記項目は一般的に請求することができ,認められることも多い損害になりますが,原則認められない損害というのも存在します。

例えば,被害に遭われた自動車にペットが乗っていて,ペットが怪我をし,飼い主の方がそのことにより精神的に苦痛を感じた場合の慰謝料などです。

この場合は,飼い主の財産権(ペット)の侵害となり,財産的な損害が満たされることによって被害が回復することとなりますので,飼い主の精神的苦痛による慰謝料としての損害は認められないことが多いです。

ただし,少額ではありますが,損害の程度等を考慮し,認められたケースも存在します。

このように事案によって請求できる損害は様々ですので,疑問をお持ちの方は,交通事故に詳しい弁護士に一度相談してみることをお勧めします。

弁護士法人心 東京法律事務所には,交通事故を得意としている弁護士が多数在籍していますので,ぜひご相談ください。

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