交通事故の怪我で将来的に介護が必要になりそうですが、この介護費についても請求できますか?
1 後遺障害により介護費が必要になった場合は請求できる場合があります
交通事故に遭われ、その後遺障害により寝たきりになってしまうなど、交通事故での受傷が原因で、誰かの介護なしには生活していくことが困難になる場合も多くあります。
その場合には、その介護に要する費用につき、将来介護費として加害者へ請求できる可能性があります。
2 将来介護費が認められる場合とは
将来介護費は、医師の指示または症状の程度により必要性が認められる場合に請求可能です。
例えば、将来介護費が認められるケースとしては、遷延性意識障害(いわゆる植物状態)や失調麻痺、高次脳機能障害、脊髄損傷といったケースがあります。
ただし、これらの症状にあたれば必ず将来介護費が認められるわけではなく、症状の程度によって介護の必要性が否定されてしまうこともあります。
3 将来介護費の算出方法
⑴ 算出方法
将来介護費は、一日あたりの介護費×365日×介護が必要となる年数に相当する「ライプニッツ係数」という計算式で通常算出します。
⑵ ライプニッツ係数が利用される理由
ここで、介護が必要となる年数をそのまま掛けるのではなく、ライプニッツ係数を掛けるとされているのには理由があります。
将来発生する可能性のある介護費の賠償を先に受ける場合、本来将来支払われるべき費用を事前に一括で支払ってもらうことになります。
ただ、同じ1万円でも、現在もらえる1万円と10年後にもらえるかもしれない1万円では、その間の運用可能性等も含めて価値が異なるといえます。
そのため、将来発生する可能性のある介護費の賠償をあらかじめ受ける場合には、将来の賠償金を現在価値に引きなおすことが必要です。
そのための方法の一つとして利息を控除(中間利息控除)すべきという考え方があります。
この考え方に基づいて算出されるものがライプニッツ係数です。
将来もらえるかもしれない賠償金を現在の価値に引きなおすために、介護が必要となる年数ではなく、ライプニッツ係数を掛けることとされているのです。
4 介護費の日額
介護費として認められる金額は、近親者による付き添いであれば、一日につき8000円(赤本基準)、職業付添人による付き添いであれば実費全額とされています。
その額は、症状により増減する可能性もありますし、必要性・相当性を踏まえて一部に限定される場合もあります。
5 介護費が認められる年数
将来介護費を支払ってもらう時点において、今後何年間介護が必要となるかは人それぞれです。
それを個別に考えることは困難であるため、原則として症状固定時の年齢から平均余命までの年数を介護費が認められる年数としています。
6 東京で交通事故の将来介護費でお悩みの方は当法人へ
ご家族の方が交通事故に遭われ、介護を必要とする状態になってしまった場合、悲しみや怒り、今後の不安で一杯ではないでしょうか。
そんな中で、相手方本人や保険会社、相手方弁護士と交渉するのは、精神的にもご負担が多いことと思います。
弁護士法人心 東京法律事務所では、交通事故を集中的に扱う弁護士が多数在籍しており、重傷の方の案件も多数取り扱っております。
東京で交通事故の将来介護費についてお悩みの方は、当法人までご相談ください。
タクシーに乗っていて交通事故に遭った場合,タクシー会社に損害賠償請求をすることができますか? 交通事故による怪我で車が運転できなかったため利用したタクシー代は,加害者に請求できますか?