弁護士費用特約の範囲
1 弁護士費用について
⑴ 事前に費用を調べておくことが重要
普段の生活の中で、弁護士に相談・依頼する機会は決して多くはありません。
交通事故の被害者の方の中にも、今までに弁護士に相談したことが無く、その費用についてイメージしづらいために、弁護士に相談することや依頼することを迷っている方もいらっしゃると思います。
実際、費用は事務所ごとに様々であるため、相談や依頼する前に、よく確認しておくことが重要です。
⑵ 費用の方式は事務所によって様々
平成16年3月31日までの日本の弁護士の報酬については、日本弁護士連合会が定めた報酬等基準規程(旧日弁連規程)および各単位弁護士会が定めた弁護士報酬標準規定に従い、全ての弁護士がその範囲内で報酬額を定めることとされていました。
そのため、どの弁護士事務所に相談や依頼したとしても、その費用はそれほど変わないということになっていました。
しかしながら、平成16年4月1日にこれらの規定は廃止され、弁護士費用は原則として各弁護士が自由に設定できることになりました。
そのため現在では、法律事務所ごとに、費用の計算方式や報酬額に違いが出てくることになります。
2 弁護士費用特約を使えば弁護士費用の負担は無くなる
もっとも、弁護士に相談・依頼をしても、その費用を被害者の方ご自身から支払っていただく必要が無い場合もあります。
それは、弁護士費用特約にご加入されている場合です。
弁護士費用特約に加入している場合、被害者の方が加入されている保険会社が弁護士費用を支払ってくれることになります。
弁護士費用特約への加入の有無は、保険証券または共済証券の特約欄をご覧いただくと分かります。
加入している場合は、「弁護士費用特約」と明示してあったり、弁護士費用特約加入の欄に「○」等が印字されていたりします。
最近は、自動車保険に付帯している弁護士費用特約に加入されているケースが増えているので、まずは自動車保険を確認されることをおすすめします。
また、生命保険や火災保険に弁護士費用特約が付帯していることもありますので、それらの保険に加入されている場合には、念のため、それらの保険も確認することをおすすめします。
証券等を見ても弁護士費用特約に加入しているかどうか分からない場合には、ご自身の保険会社にご確認いただくのがよいと思います。
3 弁護士費用特約の範囲について
⑴ 多くのケースで弁護士費用の自己負担がゼロに
もちろん、弁護士費用特約は無制限に使えるものではなく、適用される場合や金額に一定の制限が存在します。
契約内容によりますが、一般的には弁護士にかかる費用のうち300万円までが補償されます。
しかしながら、弁護士費用等が300万円を超えるのはごく一部の事件に限られます。
そのため、弁護士費用特約に加入されている方のほとんどが、相談・依頼にかかる費用をお支払いいただく必要がないということになります。
⑵ ご家族の弁護士費用特約が使えることも
弁護士費用特約は、保険に加入している本人だけでなく、ご家族が事故に遭われた際にも使うことができる場合があります。
たとえば、同居のご家族や、別居していても未婚の子どもであれば、家族が加入する保険の弁護士費用特約を使える可能性があります。
⑶ 弁護士費用特約が使えない場合
弁護士費用特約は、契約内容によっては、例えば勤務中の事故は適用除外になるなど、一定の場合には使用できないこともあります。
したがって、交通事故において弁護士費用特約が使用できる場合に当たるかを、事前にご加入の保険会社に確認しておくことが重要です。