東京で『交通事故』に強い弁護士

交通事故で裁判したほうがよいケース

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2023年6月29日

1 裁判になる割合

交通事故の損害賠償請求事件で裁判(訴訟)になる割合は、おおむね1割以下といったところだと思われます。

(交通事故の被害者であるか、加害者であるか、担当弁護士の交渉スタイル等によっても裁判になる確率は変動しますので、あくまでも一つの目安と考えてください。)

2 交通事故の裁判について

交通事故は、専門性が高く件数も多いため、東京地方裁判所では、民事27部が交通集中部として設けられています。

3 裁判した方がよいケースとは

⑴ 金額が不当に低い場合

金額が不当に低いかどうかは、結局のところ、交通事故の事件処理に慣れた交通事故に強い弁護士の最終判断に任せるしかありません。

交通事故の事件処理に慣れていない弁護士では、正しく判断できない可能性がありますので、注意が必要です。

入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益の裁判基準、過失割合の考え方や基準については、弁護士しか入手できない本に書いてあるわけではなく、一般の方でも購入可能な書籍に記載されていますし、インターネットで検索すれば、裁判基準はでてくるので、損害額の計算自体は、一般の方でもある程度はできてしまいます。

ですが、各項目の算定については、注意が必要です。

ア 治療費について

治療費については、必要かつ相当な実費全額しか認められません。

ですので、例えば、医学的にまだ普及していない最先端の治療などについては、場合によっては、賠償されない可能性があります。

また、むちうちなどの場合には、事故の衝撃に比して、長期間通院する必要はなかったとして、治療費の一部返還請求を受ける可能性もあります。

さらに、この程度の事故ではそもそも受傷することはないとして、治療と事故との因果関係を否定されて、1円も治療費を払ってもらえないこともあります。

イ 休業損害について

休業損害についても、被害者本人は事故のせいで休んだから、休んだ分については全部賠償してもらえると思っているかもしれませんが、休業損害についても、必要かつ相当な休業日数についてしか賠償されないので注意が必要です。

また、会社員の方などお給料をもらっている方については、休業損害の日額で揉めることも少ないのですが、自営業の方や歩合制のお給料の方、役員の方などについては、休業損害の日額についても争点になることがあります。

ウ 傷害慰謝料・後遺障害慰謝料について

傷害慰謝料、後遺障害慰謝料については、弁護士が介入して示談交渉していたとしても妥当な金額を提案してこないことがあります。

弁護士が介入した場合、相手方保険会社は、裁判をせずに争点になりうる点についても争わず、早期にお支払いをするかわりに、裁判基準の80%~90%程度の示談提案をしてくることが多いです。

しかし、それにも満たない低い金額しか出せないと言われるケースもあり、その提案に合理的な理由がない場合には、裁判を検討する必要があります。

エ 後遺障害逸失利益について

後遺障害逸失利益については、後遺障害の部位、程度によって、労働能力喪失期間や、労働能力喪失率に違いがありますので、注意が必要です。

外貌醜状が、歯牙障害などのように類型的に逸失利益が否定されやすい後遺障害もあれば、圧迫骨折のように、程度に応じて、労働能力喪失率や、労働能力喪失率にばらつきが生じているものもあります。

賠償する側の保険会社は、当然ながら、賠償金を少しでも低く抑えたいがために、労働能力喪失率や期間を相場より低く提案してくることがあります。

オ 金額が不当に低いかどうかの判断について

弁護士との交渉によって、賠償金額が妥当なラインまで引きあがればいいのですが、弁護士が介入していても、どうしても、保険会社が不当に低い金額のまま、賠償金額を上げられないと固持してくることがあります。

この場合には、示談交渉は決裂として、裁判をした方がいいケースも出てきます。

ですが、当然のことながら裁判をやれば、必ず被害者側有利に賠償金額が上がるとは限りませんので注意が必要です。

裁判をしても、示談段階の最終回答金額よりも低くなる可能性を考慮してもなお裁判に移行した方がいいのかは、まさに、交通事故の事件処理になれた弁護士にしか判断できない事項です。

⑵ 時効を中断する必要性がある場合

解釈の仕方によって異なりますが、事故日から5年(物的損害については3年)経過すると、時効にかかってしまい、消滅時効を主張されて、1円も賠償金を受け取れない可能性もあります。

ですので、消滅時効にかけないために、裁判を提起して、時効を中断しておく必要がある場合があります。

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